evidence-based medicine

‘血管新生’ カテゴリーのアーカイブ

病的近視 (変性近視)とコクラン・レビュー

コメントする »

病的近視眼の脈絡膜新生血管に対するレーザー光凝固術 (コクラン・レビュー)
Laser photocoagulation for choroidal neovascularisation in pathologic myopia (Cochrane Review)
Virgili G, Menchini F
» http://www.update-software.com/Abstracts/AB004765.htm
The Cochrane Database of Systematic Reviews 2005, Issue 4. Art. No.: CD004765.pub2. DOI: 10.1002/14651858.CD004765.pub2.
[最終改正: 14 July 2005]
(要約の邦訳)
背景: 病的近視は通常、-6ジオプトリー diopter 以上の眼鏡レンズ矯正を要すると定義されている。脈絡膜新生血管 (Choroidal neovascularisation CNV)は病的近視を有する人の視力低下原因として最も多い。近視性黄斑変性では、黄斑部に新たに血管が形成されると、視野の中心に暗点をきたす線維性色素性瘢痕をしばしば引き起こす。
目的: 本レビューの主目的は、病的近視に伴う CNVに対するレーザー光凝固術の効果を調査することであった。第2の目的は、異なる光凝固法の効果を比較することであった。
検索戦術: 原文参照 (訳者注: いくつかのデータベースおよび研究論文内の文献リストの調査を行っていますが、データベース名は省略いたします)
選択基準: -6ジオプトリー以上の強度近視に伴う CNV 症例に対して、光凝固術と観察と比較する、または、異なる光凝固法を比較する無作為化比較試験 randomised controlled trial を採用した。
データ収集と解析: 2名の著者が個別に検索結果の適格性を評価した。
主な結果: 2つの臨床試験は中心窩 (訳者注: 原文 foveal centre) から 100ミクロン以上に位置する CNVを有する症例が登録されていた。1つの臨床試験は光凝固術と観察と比較した。無作為に光凝固術治療に参加した 35例中 16症例 16/35、無作為に観察のみに参加した 35例中 31症例 31/35 は、最終検査時の6か月から 48か月後に視力 0.2以下(訳者注: 原文は分数視力 20/100) となった。第 2の臨床試験は 3種類のレーザー波長 nmによる光凝固術を無作為に 27眼 (26症例)に行った (1群につき 9眼)。2段階以上の視力低下を来たした眼数は、3か月から 17か月後に 2眼 (577 nm), 3眼 (590 nm), 3眼 (620 nm)であった。両方の臨床試験ともに、比較は最終検査時に評価した諸結果で行われていた。最終検査は異なる追跡期間で実施されたので、所見を解釈するのは困難であり、追加解析のためにデータを抽出することは不可能であった。
著者の結論: 数年以上の使用にもかかわらず、近視性脈絡膜新生血管に対するレーザー光凝固術の効果は確立していない。非中心窩下脈絡膜新生血管についての小規模な臨床試験 1件では短期間の有効性が示唆されたが、その結果は潜在的にバイアスを受けていた。観察試験によると、脈絡膜新生血管の再発がない患眼においてさえ、非中心窩下脈絡膜新生血管のレーザー治療後の萎縮性レーザー瘢痕拡大が失明の恐れを伴う長期合併症を来たす潜在的な可能性を示唆している。

固定リンク: エントリー「病的近視とベルテポルフィン治療」
» http://infohitomi.biz/archives/000059.html

投稿者: support

2005/11/03 20:13

カテゴリー: 血管新生

病的近視とベルテポルフィン治療 (その1)

コメントする »

ベルテポルフィン (ビスダイン)による光線力学療法 Verteporfin (Visudyne) therapy, photodynamic therapy with intravenous liposomal verteporfin の有効性、安全性等の評価は、欧州と北アメリカにおいて、多施設、無作為化、対照化臨床試験 multi-centre, randomised, controlled clinical trials によって行われました (現在も追跡調査等継続中)。
エントリー「病的近視のベルテポルフィン治療-2年-VIPレポート
  » http://infohitomi.biz/archives/000062.html
もご覧下さい。

加齢黄斑変性と病的近視による脈絡膜新生血管 (CNV) を対象とした治療を行っている臨床試験名と研究班名:
VIP Trial : Verteporfin in Photodynamic Therapy Study Group
    VIP-AMD : 加齢黄斑変性 age-related macular degeneration (AMD)
    VIP-PM : 病的近視 pathological myopia (PM)
TAP Trial : Treatment of Age-Related Macular Degeneration with Photodynamic Therapy Study Group
VIM Trial: Visudyne in Minimally Classic Choroidal Neovascularization Study Group

他疾患として、眼ヒストプラズマ症 presumed ocular histoplasmosis syndrome (POHS), 血管線条 angioid streaks, 慢性中心性漿液性網脈絡膜症 chronic CSC, 原因不明などを対象としたベルテポルフィン治療に関する複数の論文報告があります (多施設、無作為化、対照化臨床試験ではありません)。

国内:
JAT: 日本加齢黄斑変性トライアル研究班 Japanese Age-related Macular Degeneration Trial Study Group
» http://infohitomi.biz/archives/000018.html

病的近視の中心窩下脈絡膜新生血管に対するベルテポルフィン治療: ランダム化臨床試験の2年結果–VIPレポート no.3
Ophthalmology. 2003 Apr;110(4):667-73.
Verteporfin therapy of subfoveal choroidal neovascularization in pathologic myopia: 2-year results of a randomized clinical trial–VIP report no. 3.
Blinder KJ, Blumenkranz MS, Bressler NM, Bressler SB, Donato G, Lewis H, Lim JI, Menchini U, Miller JW, Mones JM, Potter MJ, Pournaras C, Reaves A, Rosenfeld P, Schachat AP, Schmidt-Erfurth U, Sickenberg M, Singerman LJ, Slakter JS, Strong HA, Virgili G, Williams GA.
本論文「結果」の抄訳は、エントリー「病的近視のベルテポルフィン治療-2年-VIPレポート」
  » http://infohitomi.biz/archives/000062.html
をご覧下さい。

病的近視の中心窩下脈絡膜新生血管に対する光線力学療法の視力結果に影響する予後因子
Am J Ophthalmol. 2004 Sep;138(3):434-8.
Prognostic factors influencing visual outcome of photodynamic therapy for subfoveal choroidal neovascularization in pathologic myopia.
Ergun E, Heinzl H, Stur M.
Department of Ophthalmology, University of Vienna Medical School, Waehringer Guertel 18-20, A-1090 Vienna, Austria.
[要約の邦訳]
目的: ベルテポルフィン verteporfin 使用による光線力学療法 (PDT)を受けた病的近視と脈絡膜新生血管 (CNV)を伴う患者の視力結果に対する年齢, 病変の大きさ, 近視の程度, 治療前視力の影響を調査する。
デザイン: 連続症例に対する後向き, 非比較調査
方法: 41症例 43眼は2年間にわたり治療を受けた; 病的近視による CNVに対して PDTを受けた 36症例 36眼は初回治療後24か月間、上記因子について検査した。全患者は VIP研究班 the Verteporfin in Photodynamic Therapy (VIP) study の基準に従って治療を行った。患者は 2-3か月間隔で Snellen視力, 生体顕微鏡, 蛍光眼底造影による検査を受けた。
結果: 治療前視力 (P =.0097)と患者年齢 (P =.0055)は、ともに視力結果に関する予後因子であった。治療前の病変の大きさ (最長の直線距離), 屈折異常値, 治療回数は結果に影響しなかった。
結論: 年齢と治療前視力は、病的近視に続発した CNVのために PDTを受けた患者の視力結果に影響があった。年齢が若く治療前視力が良い患者はより良い治療結果であった

投稿者: support

2005/11/03 10:30

カテゴリー: 血管新生

慢性中心性漿液性網脈絡膜症と光線力学療法

コメントする »

慢性中心性漿液性網脈絡膜症に対して注射薬ベルテポルフィンを使用する光線力学的療法の有用性を報告した数編の医学論文はありますが、予備的研究や少数例の症例報告であり、ランダム化比較臨床試験は現時点(2005/10/16)では発見できません。
  エントリー「特発性中心性漿液性網脈絡膜症と視力低下因子」
» http://infohitomi.biz/archives/000048.html
  エントリー「加齢黄斑変性(症)に対するVerteporfin治療」
» http://infohitomi.biz/archives/000018.html
キーワード:

慢性中心性漿液性網脈絡膜症 chronic CSC
光線力学的療法 photodynamic therapy PDT
インドシアニングリーン眼底造影ガイド下ベルテポルフィン光線力学的療法 Indocyanine green angiography-guided PDT with verteporfin, PDT with ICG guidance
ベルテポルフィン verteporfin

Retina. 2003 Jun;23(3):288-98.
Indocyanine green angiography-guided photodynamic therapy for treatment of chronic central serous chorioretinopathy: a pilot study.
Yannuzzi LA, Slakter JS, Gross NE, Spaide RF, Costa DL, Huang SJ, Klancnik JM Jr, Aizman A.
LuEsther T. Mertz Retinal Research Center, Manhattan Eye, Ear, and Throat Hospital, New York, New York 10021, USA.
[続報が発表された時点で要約の邦訳を予定しています]

慢性中心性漿液性網脈絡膜症: 光線力学的療法
Am J Ophthalmol. 2004 Jun;137(6):1073-80.
Chronic central serous chorioretinopathy: photodynamic therapy.
Taban M, Boyer DS, Thomas EL, Taban M.
Retina-Vitreous Associates, Los Angeles, California, USA.
[要約の邦訳]
目的: 光干渉断層計とフルオレセイン眼底造影法を使用し、慢性中心性漿液性網脈絡膜症に対する光線力学療法の有効性を提示すること
研究デザイン: 一連の症例の介入研究
方法: 慢性中心性漿液性網脈絡膜症 4症例 (5眼)の実際の臨床診療における後向き研究。verteporfin 光線力学的療法による治療を行い、平均10か月の期間、光干渉断層計 optical coherence tomography(訳者注: OCTと略称します)とフルオレセイン眼底造影法による評価を行った。
結果: 治療前 OCTに比べて、漏出停止に伴う網膜下液貯留と漿液性剥離の急速な減少が治療眼 5眼に見られた。特に病初期に良好な視力であった患者において、著明な視力改善もみられた。しかしながら、色素性変化は持続した。
結論: verteporfin を使う光線力学的療法により、慢性中心性漿液性網脈絡膜症患者の液漏出、網膜下液貯留、漿液性剥離は減少し、結果的に視力は改善し、有益な効果があるように、一連のOCT検査が明らかにした。もし、光線力学的療法を病気のより早期に行うと、もっと良い視力成績を期待できる。

投稿者: support

2005/10/16 13:06

カテゴリー: 血管新生

変性近視, 病的近視と Forster-Fuchs 網膜斑

コメントする »

日本では Fuchs’ spot (フックス斑) とよばれることが多いようです。
Duke-Elder 全書には、「円形のクラレット色(濃い赤紫色)または黒色の斑点で、覆っている網膜は萎縮したり、暗点を残すことがある」と記述されています。
別称: Forster-Fuchs spot, Forster-Fuchs’ spot, Fuchs spot, Fuchs’ fleck など
  Forster-Fuchs retinal spot
» http://www.patient.co.uk/showdoc/40002185
[一部抄訳]
Forster は1862年、重度の近視眼に伴った網膜下新生血管について、Fuchs は中心窩または中心窩近傍の色素性病変について記述しました。これらは同一(訳者注: 疾患)プロセスの両部分です。

Forster described subretinal neovascularisation in severely myopic eyes in 1862 and Fuchs described a pigmented lesion at or near the fovea. They are both part of the same process.

Investigations 原因研究(引用文献 1): フルオレセイン蛍光眼底造影検査は、多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。

Fluorescein angiography shows subretinal neovascularization from the choroid as the basic underlying disease in most cases.

Prognosis 予後(引用文献 2): Moorfields Eye Hospital の研究 (1983年)では、介入がないと43%の患者で視力は 2段階以上低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後は不良であった。視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。

A study from Moorfields in 1983 showed a generally poor prognosis without intervention with 43% of the patients losing 2 or more lines of vision, while 60% were less than or equal to 6/60 at last follow-up. There was a direct relationship between visual acuity and the distance of the neovascular tissue from the fovea, and an inverse relationship between acuity and the size of the lesion. There seems to be a short neovascular growth phase, with early visual loss.

[引用文献]
(1) Fuchs 斑: 検眼鏡およびフルオレセイン蛍光眼底撮影法による研究
Ann Ophthalmol. 1977 Nov;9(11):1433-43.
The Fuchs’ spot: an ophthalmoscopic and fluorescein angiographic study.
Levy JH, Pollock HM, Curtin BJ.
[要約の邦訳]
強度近視にみられる Fuchs 斑 Fuchs’ spot の眼底検査所見とフルオレセイン蛍光眼底撮影所見との相関関係を示す。検眼鏡で見られるいろいろな変化は、網膜色素上皮および神経感覚網膜の漿液性剥離と出血性剥離双方が本病変に関連することを示唆している。しかしながら、フルオレセイン蛍光眼底撮影検査は、レビューした多くの症例において、基礎疾患として脈絡膜由来の網膜下新生血管の存在を示している。強度近視眼の色素性黄斑症 pigmented maculopathy の検眼鏡的所見には幅広いバリエーションがあるので、用語"フックス斑 Fuchs’ spot"で表すよりも記述的アプローチを必要としている。傍中心部の房状(血管)に対して進行を遅らせるレーザー光凝固治療が可能なことがあるので、フルオレセイン蛍光眼底撮影法は新生血管病変を描写するために必要である。

(2) 近視眼における円板状変性の視力予後
Ophthalmology. 1983 Aug;90(8):923-6.
Visual prognosis of disciform degeneration in myopia.
Hampton GR, Kohen D, Bird AC.
[要約の邦訳]
Forster-Fuchs’ spot を呈し、血管造影検査により網膜下新生血管による視力低下と診断され、Moorfields Eye Hospital 通院中の近視眼の症例で、視力低下の病歴は短く、他の眼疾患のない連続する症例を対象として後向き調査を行った。追跡調査中の視力は診察時の視力と比べられ、患者年齢、追跡期間だけでなく、新生血管複合体のサイズや部位に関係していた。43%の患者で 2段階以上の視力が低下し、さらに 60%の患者は最終追跡調査時点で 0.1以下の視力となり、一般的に予後不良の結果であった。予想どおり、視力と中心窩から新生血管組織までの距離とは直接の因果関係があり、視力と病変サイズとは逆相関した。早期の視力低下を伴う短期間の新生血管増殖相があるように思われる。

投稿者: support

2005/09/16 17:02

カテゴリー: 血管新生

特発性中心性漿液性網脈絡膜症と視力低下因子

コメントする »

Loo RH ら (Bascom Palmer Eye Institute) による最新論文の抄訳です。
【論文結果の一部と結論】
特発性中心性漿液性網脈絡膜症WHO 国際疾病分類 International Classification of Diseases ICD-10 H35.7 患者の長期追跡調査(3年以上)中、視力低下に関連する因子に含まれるものは、持続性色素上皮剥離または持続性網膜下液、再発、黄斑網膜下脈絡膜新生血管であった。本研究では、レーザー治療、黄斑部の網膜色素上皮萎縮、黄斑下方の網膜色素上皮の萎縮域と視力低下とは有意な関連はなかった。
全症例 61例101眼の最終検査時所見
  両眼性 65.6%
  再発率 46.5%
  平均視力 0.5 (= Snellen 20/40)
  脈絡膜新生血管 2%

特発性中心性漿液性網脈絡膜症の長期経過観察例にみられる視力低下に関連する因子
Retina. 2002 Feb;22(1):19-24.
Factors associated with reduced visual acuity during long-term follow-up of patients with idiopathic central serous chorioretinopathy.
Loo RH, Scott IU, Flynn HW Jr, Gass JD, Murray TG, Lewis ML, Rosenfeld PJ, Smiddy WE.
Department of Ophthalmology, Bascom Palmer Eye Institute, University of Miami School of Medicine, Miami, Florida 33136, USA.

[略語]
ICSC » 特発性中心性漿液性網脈絡膜症 idiopathic central serous chorioretinopathy
SRF » 網膜下液 subretinal fluid
CNV » 脈絡膜新生血管 choroidal neovascularization
PED » 色素上皮剥離 pigment epithelium detachment
RPE » 網膜色素上皮 retinal pigment epithelium

【対象, 方法】米国マイアミ大学医学部 Bascom Palmer Eye Instituteにおいて 1970/1/1 から 1997/12/31の期間に症例を評価し、その後3年以上追跡調査した特発性中心性漿液性網脈絡膜症 (ICSC) の全患者をレビュー(後向き調査)した。臨床データは、初回検査、3年, 5年, 10年, 最終検査時のものを抽出した。
対象除外例: ポリープ状脈絡膜血管症 (Polypoidal choroidal vasculopathy)、初診時年齢 50才を越える患者など(訳者注: 他の除外疾患の記述は省略します)。
再発の定義: PEDやSRFが消失したと記載されていた同部位に再び PEDやSRFが発症するか、以前とは異なる部位に黄斑部PEDやSRFが出現する。患者の主訴によって再発としたのではない。持続性のPEDやSRFは再発とはみなさない。
CNV: 蛍光眼底血管造影による確認例のみ。

【結果】3年以上追跡調査した症例は 61症例 101眼であり、初回検査時の平均年齢は 39.8才 (年齢分布 27.3-48.2才)であった。平均追跡調査期間は 9.8年 (中央値 8.0年; 範囲 3.1年-26.2年)であった。
最終検査時の 視力が 0.5以上保持されていた患眼を [Group 1], 視力 0.5未満であった患眼を [Group 2] として後向きの比較調査を行った。11症例では、片眼[Group 1]、他眼[Group 2]であった。
  Group 1: 51例 76眼. 平均年齢 39.7才 (27.7-48.1才)
  Group 2: 21例 25眼. 平均年齢 40.9才 (31.9-48.2才)

グループ間で有意差のあった所見 (視力低下のリスク因子 Group 1 vs Group 2)
· 再 発: 3年( 36.4% vs 72.7%; P= 0.043), 最終( 39.5% vs 68.0%; P= 0.02)
· PED または SRFの存在: 3年( 15.9% vs 27.3%; P= 0.40), 最終( 5.3% vs 28.0%; P= 0.004)
· 黄斑部網膜下 CNV: 3年( 0% vs 18.2%; P= 0.037), 最終( 0% vs 8.0%; P= 0.059)

レーザー治療の適応症例は、黄斑部網膜に及ぶ持続性ないし再発性SRFを含む。治療を行った眼科医がレーザー治療の時期や範囲を決定した。

グループ間で有意差のなかった所見
· 黄斑部網膜の RPE 萎縮: 3年(79.6% vs 90.9%), 最終(90.8% vs 96.0%)
· 黄斑部下方の RPE 萎縮域 atrophic RPE tracts: 最終(4.0% vs 4.0%)
· レーザー治療の眼数: 最終(28.9% vs 32.0%)

【考案】
他論文データとの比較:
(1) 他の論文では追跡調査期間に差があるため、両眼性の発症頻度も変化が大きい (8-86%)のであるが、長期追跡調査を行った本研究では以前の報告よりその頻度は高く、初回検査時 36.1%, 最終検査時 65.6% であった。
(2) 再発率を他の過去論文と比較することは、再発の定義、方法、追跡調査期間の違いがあるため、多少困難を伴います。以前の漿液性網膜剥離の部位外に蛍光漏出点が出現しても再発としてカウントしなかったり、追跡期間が短いと、再発率は低くなる可能性があります。それにも係わらず、本研究の全症例での再発率 46.5% が他論文データ (15.4-50.7%) の範囲内であったのは、通院間隔が不定であり、PEDやSRFが再発であるか持続性であるか、区別できなかったためであることを認めなければならない。
(3) 本研究の全症例中 92.1%(最終検査時) に黄斑部網膜の RPE変化がみられたが、他の研究論文データ (43-87%) より頻度は若干高い。他論文では重症例が時々対象から除外されているので、バイアスの結果の可能性がある。
(4) 黄斑部下方の RPE 萎縮域は、より強いSRFと経過の慢性化を意味し、視力低下との関連性があるかもしれないが、本研究では視力悪化とは有意の関係はなく、類嚢胞黄斑浮腫を伴わなかったり黄斑が回避されたことを反映した可能性がある。

バイアス:
(1) 最長26年に及ぶ長期間の追跡調査症例のみ対象とした (追跡調査期間 3年未満の症例は除外した) ので、自然治癒した、より軽症の症例は対象に含まれていない可能性がある。
(2) 他論文の報告例に比べて、本研究での平均最終視力 (0.5)は若干悪く、また 1.0が保持された症例の頻度が少ない理由として、大学病院のために複雑なケースが紹介受診となったり、追跡調査期間がより長期のためであろう。

投稿者: support

2005/09/04 20:24

カテゴリー: 血管新生

フォロー

Get every new post delivered to your Inbox.