evidence-based medicine

12月 2005のアーカイブ

のう胞様黄斑浮腫のアセタゾラミド治療

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炭酸脱水酵素阻害薬 carbonic anhydrase inhibitor 「アセタゾラミド acetazolamide」の経口薬を黄斑浮腫、特に、のう胞様黄斑浮腫WHO 国際疾病分類 International Classification of Diseases ICD-10H35.8 の治療に用いることがあります。しかし、これまでに実施された本剤の有用性を調べる臨床試験の中で、ランダム化比較臨床試験は非常に少ないようです。

Doc Ophthalmol. 1999;97(3-4):387-97.
The role of carbonic anhydrase inhibitors in the management of macular edema.
Wolfensberger TJ.
Hopital Ophtalmique Jules Gonin, University of Lausanne, Switzerland.
[総説論文の要約の一部]

Several clinical studies have suggested that patients with cystoid macular edema due to retinitis pigmentosa and uveitis may react more favorably to CAI treatment than other etiologies such as diabetic maculopathy or macular edema after retinal vein occlusion.

「網膜色素変性症」および「ぶどう膜炎」による"のう胞様黄斑浮腫"は、「糖尿病黄斑症」や「網膜静脈閉塞(症)」後の黄斑浮腫などの他原因によるものに比べて、炭酸脱水酵素阻害剤治療に対して、より良く反応する可能性があることをいくつかの臨床試験は示しています。

ぶどう膜炎患者の嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミド薬のランダム化クロスオーバー盲検試験
Ophthalmology. 1996 Jul;103(7):1054-62; discussion 1062-3.
A randomized, masked, cross-over trial of acetazolamide for cystoid macular edema in patients with uveitis.
Whitcup SM, Csaky KG, Podgor MJ, Chew EY, Perry CH, Nussenblatt RB.
National Eye Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892-1858, USA.
[要約の邦訳]
目的: ブドウ膜炎患者に発生した嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミドの効果を試験する。
方法: 類のう胞黄斑浮腫を伴った慢性の中間型、後部型、または汎ぶどう膜炎 40症例を対象として、アセタゾラミドとプラセボ(偽薬)を比較する交差盲検試験のためにランダム割付を行った。患者は最初の 4週間(コース A)、アセタゾラミドまたは偽薬を服用し、次いで 4週間ウォッシュアウト(洗い流し 訳者注: 投薬中止)が行われた。その後、4週間は反対の薬剤を服用した(コース B)。主要評価項目 primary endpoint は、蛍光眼底造影検査の後期像で測定した嚢胞様黄斑浮腫の面積および視力を含んでいた。
結果: 37症例が本試験を完了し、解析可能であった; 無作為割付により、コース A の期間中に、17例 (46%)はアセタゾラミド、20例 (54%)は偽薬を使用した。
アセタゾラミド群ではプラセボ群に比べて嚢胞様黄斑浮腫の面積が 0.5-disc area [訳者注: disc 視神経乳頭] (25%) 減少した (P = 0.01; 推定治療効果 = -0.5 disc areas; 95% 信頼区間, -0.9 から -0.1)。しかしながら、視力に関しては、アセタゾラミドには統計的に有意な効果はなかった (P = 0.61; 推定治療効果 = 0.6 letters [訳者注: 使用した視力検査法の単位]; 95% 信頼区間, -2 to 3)。
結論: アセタゾラミド治療の 4週間コースは、慢性ぶどう膜炎患者の嚢胞様黄斑浮腫を統計的に有意に減少させたが、その程度は軽度であり、視力改善はない。文献上、以前の試験とは対照的に、慢性ぶどう膜炎に伴う長期持続する嚢胞様黄斑浮腫に対するアセタゾラミドの臨床的有用性は、より限られている more limited 可能性がある。

投稿者: support

2005/12/15 22:13

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網膜芽細胞腫-主症状とタイムラグ

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小児期に発生する網膜の悪性新生物「網膜芽細胞腫WHO 国際疾病分類 International Classification of Diseases ICD-10C69.2」の主症状などについての論文(要約)です。
「網膜芽細胞腫」診断の遅れ
J Pediatr (Rio J). 2004 Nov-Dec;80(6):511-6. Portuguese.
Delayed diagnosis in retinoblastoma
Rodrigues KE, Latorre Mdo R, de Camargo B.
Fundacao Antonio Prudente, Centro de Tratamiento e Pesquisa, Hospital do Cancer de Sao Paulo, Sao Paulo, SP.
[要約の邦訳]
目的: 網膜芽細胞腫の主症状を特定し、症状発症から診断までの平均時間 (遅延時間 タイムラグ 時間差 lag time)を調査する。
患児と方法: 1991年1月から2000年6月までの期間に網膜芽細胞腫と診断された患児を対象に後向き解析を行った (ブラジル サンパウロの癌センター小児科 医療機関名: the Pediatric Department of the Hospital do Cancer)。統計学的解析として、Student’s t test, ANOVA, Tukey-HSD test (honest significant differences), Levene’s test, multiple regression, ROC curve, logistic regression, Kaplan-Meier, log rank を行った。
結果: 327人分の診療記録 (男児 171人)をレビューした。 患児の平均年齢は 25か月であった。限局性疾患 (訳者注: 限局性病変)は 269症例にみられた。最多症状は、白色瞳孔 (79% leukocoria), 斜視 (10.7% strabismus), 腫瘍による腫瘤 (3.4% tumor mass)であった。平均遅延時間 (mean lag time) は 5.8か月であった。2才を超した患児は乳児に比べて、遅延時間は長かった(7.2 vs 4.7 か月; p = 0.001)。斜視を呈する患児の遅延時間 (8.8か月)は、腫瘤 (2.3か月)および白色瞳孔 (5.6か月)に比べて長かった (p = 0.014)。転移性疾患(訳者注: 眼球外への転移)を有する患児の遅延時間は長かった (10.6か月; p < 0.001)。
遅延時間は進行疾患(訳者注: 進行期病変)[オッズ比 OR = 3.25/信頼区間 CI = 1.61:6.55], 転移性疾患 [OR=3.52/ CI = 1.21:10.21] および斜視 [OR = 2.84/IC = 1.36:5.92] に左右された。5年全生存率は、遅延時間が長い患児 (78%)に比べて、限局性疾患の患児 (94.6% )と遅延時間 6か月未満の患児 (91%)で、より高かった (p < 0.001)
結論: 網膜芽細胞腫の最多症状は、白色瞳孔, 斜視, 腫瘤であった。平均遅延時間は 5.8か月であった。斜視と進行期病変は、より長い「遅延時間」に相関した。進行期病変と6か月以上の「遅延時間」を有する患児の予後は、より悪かった。

訳者注: 「白色瞳孔」について
網膜芽細胞腫が硝子体腔に向かって増殖し水晶体後方に位置するようになると、灰白色の腫瘤表面で光を反射するため、角膜・虹彩中央の"ひとみ (瞳孔, 瞳孔領)"が黄白色に光ってみえることがあります。
網膜芽細胞腫では、腫瘤状の病変部分では網膜機能が障害され、通常視力は失われるので、この症状・病期を「黒内障性猫眼 "amaurotic cat’s eye"」と別称したこともあります。
本来黒い"ひとみ" (瞳孔の周囲組織 虹彩のことではありません)が白く反射するとき、眼科診断学では「白色瞳孔」とよびますが、網膜芽細胞腫のほか、第一次硝子体過形成遺残、未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症)、網膜剥離、Coats 病、化膿性眼内炎、他の眼内腫瘍などでもみられます。

投稿者: support

2005/12/13 14:13

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外傷性視神経症

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頭部外傷(特に、顔面の眉毛外上方部の強打時)により視神経管 (視束管)骨折などが発生し、外傷性視神経症WHO 国際疾病分類 International Classification of Diseases ICD-10H47.0 を来たしたとき、減圧を目的として外科的治療「視神経管開放術」が行われることがあります。
下記コクラン・レビューでは、本疾患に対する無作為化比較臨床試験は確認できませんでした。ご一読下さい。

The Cochrane Database of Systematic Reviews 2005, Issue 4. Art. No.: CD005024.pub2. DOI: 10.1002/14651858.CD005024.pub2.
外傷性視神経症の手術治療 (コクラン レビュー)
Surgery for traumatic optic neuropathy (Cochrane Review)
Yu Wai Man P, Griffiths PG
[最終改訂 04 August 2005]
  » http://www.update-software.com/Abstracts/AB005024.htm
[要約の邦訳]
背景: 外傷性視神経症 (Traumatic optic neuropathy TON) は鈍的または穿通性頭部外傷に続発し重篤な視力障害にいたる重要な原因の一つです。一次的な損傷に続いて、視神経管内の視神経浮腫や骨片による圧迫がニ次的な網膜神経節細胞の消失を来たすと考えられています。そのため、ステロイドまたは手術的介入または両治療法による視神経減圧治療は、TONの視力予後を改善させると提唱されています。
目的: 本レビューの目的はTON治療としての外科的介入の効果および安全性を審査することでした。
検索戦略: (訳者注: コクラン・レビューに際して通常使用される諸方法のため、邦訳は省略します。原文を参照して下さい.) 臨床試験に関する電子的検索において、期日や言語の上で制約はありませんでした。
選択基準: どのような種類の手術的介入であっても、手術単独治療またはステロイド併用治療をステロイド単独治療または未治療と比較したランダム化比較試験のみ調査対象とする方針としました。
データ収集と解析: 著者 2人が個別に検索戦略により確認された論文タイトルと抄録を評価しました。対象基準を満たす臨床試験はなく、よって解析対象はありませんでした。
主要な結果: 著者らの対象基準を満たす臨床試験は見出せなかった。
著者らの結論: 現在知られているエビデンスは、そのほとんどが一連の症例を対象とした小規模の後向き試験から得られています。TONに対する手術介入法が多様であるため、たとえ質的な比較であっても、これらの試験を比較することは極めて困難です。一方、自然に視力が回復することが比較的高率であり、視神経の減圧手術がさらに効果的であるとの証拠はありません。他方、手術は術後脳脊髄液漏や髄膜炎などの明らかな合併症のリスクがあります。そのため、TONにおいて手術を実施するように決断することは、依然として議論の余地があり、個々の症例でその利点についての評価が必要です。TONの手術介入について十分に強化されたランダム化比較試験を行うことが急務ではありますが、難しい試験となるでしょう。

投稿者: support

2005/12/11 17:32

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